ヴァーストゥ1 ― インド風水 ―

心地よさをめざす環境デザインの知識
ヴァーストゥイラスト
はじめに

人の創り出す住環境のデザインにおいて、自然の法則を復活させる、 ‘ ヴァーストゥ VAASTU ’ という純粋な知識によるテクノロジーが静かなブームとなっているのをご存知でしょうか?

‘ ヴァーストゥ ’ は、インド風水とも呼ばれ、古代インドを発祥とする、深遠な知識である ‘ヴェーダ ’ の一部門で、環境建築学と言えます。

自然と人為的環境の関係性において、住環境を自然の法則に調和させることによって、環境が私たちの生命を支援する原則が見出されました。

誤った知識による、住居や職場、都市の設計といった住環境の不適切なデザインが、不健康や災難などの否定的な影響を生み出しているとは... 思いも及ばない方も多いのではないでしょうか。

このような不運を招く否定性に対し、ヴァーストゥは肯定的で進化を促す影響力を強め、幸運を招くと言われています。

現代において、このヴァーストゥの知識が再認識され、その手法が建築に取り入れられるケースは増えています。



ヴァーストゥとは

‘ ヴァーストゥ ’(ワースツ)とは、純粋な場(領域)・結界・ヴェーダ環境建築学を意味します。一般的にはインド風水とされています。
その作用から建築のヨーガ(=統一学)とも受け取られています。

ヴァーストゥは、サンスクリット語で「構築する」という意味の ‘ スターパティー ’(sthapaty)とも呼ばれ、古代インドを発祥とする、純粋な知識である ‘ ヴェーダ ’ の一部門です。
ヴェーダは、古代賢者(リシ)が意識の深いレベルで洞察した宇宙の法則です。

ヴァーストゥは、地球上の極点や赤道との位置関係、太陽、月、惑星などの宇宙からの影響をも考慮した、建築・設計に関する最古の完全な知識体系と言われています。

ヴァーストゥは、人が創り出す住環境のデザインを、自然の法則、言い換えると宇宙の機能と構造とに完全に調和させることによって、自然の恩恵を存分に享受できる、という知識です。

ここで、人が創り出す住環境とは、狭義には住居、職場や学校などの建物づくりであり、広義には街づくりや都市づくり、ひいては環境づくりをも意味します。


地球における純粋な知識ヴェーダは、古代インドを発祥とし、世界各国に渡りました。

紀元前25世紀に遡る四大文明のひとつ、インダス文明における都市モヘンジョダロや、12世紀にはカンボジアの寺院建築であるアンコールワットなど、古代遺跡にもヴァーストゥの反映の一部を見ることができます。


モヘンジョダロ
著作: M.Imran
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Mohenjodaro_Sindh.jpeg
ライセンス:クリエイティブ・コモンズ
http://creativecommons.org/licenses/sa/1.0/

アンコール・ワット~上空から
著作: Charles J Sharp
出典: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Angkor-Wat-from-the-air.JPG?uselang=ja
ライセンス:クリエイティブ・コモンズ
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja
https://creativecommons.org/licenses/by/2.5/deed.ja

長い年月を経て、近年以降、ヴァーストゥの知識は、本国インドでは寺院建設などに細々と伝承されるにとどまり、知識層を除いては一般的に知られることなく、ヴェーダの知識は衰退し忘れ去られていました。

しかし、近年、賢者によって純粋な知識が復活させられ欧米に紹介されると、精神性を求める階層に注目、理解され、広く浸透したことで、インドに逆輸入の形でもたらされたという経緯があります。

そして、ヴェーダの知識は再び評価され、広く世界に知られるようになりつつあります。
日本でも一般的に認知されてきている、修行法としてのヨーガや、生命の科学とされるアーユルヴェーダも、ヴェーダの一つの分野です。

参考まで、日本史上において、ヴァ―ストゥは古代の社寺建築にも取り入れられていると考えられます。
その代表格である五重塔は、塔の上より万物の構成要素である[ 空・風・火・水・地 ]の五大元素の理(ことわり)が考察でき、由来は仏教の宇宙観の五大思想に通じます。

仏教は、インドのヴェーダ聖典に端を発したバラモン教から分派し、その発展の途において、ヒマラヤ山脈を超えチベットを経て中国から日本に伝播しました。

以上より、社寺建築の一部と言える仏教建築は、ヴェーダのヴァ―ストゥに相当の関連性があり起源であると理解できます。
同様に、中国から日本に伝播した漢方もインドのアーユルヴェーダに起源があると考えられています。

現代において、ヴァーストゥの手法は、インドの寺院や知識層だけでなく、アメリカでもインド系移民の多い西海岸を中心にブームとなっており、世界の大富豪も取り入れていて、ビジネス界や一般層にも広がっています。

ヴァーストゥは、アメリカのファースト企業をはじめ、海外の日系企業にも活用されているというような情報等をインターネット上で見かけます(各企業の公式情報は見かけたことはなく、真偽のほどは定かではありません)。
また、インドの名門インド工科大学カラグプル校では、2017年8月よりヴァーストゥをカリキュラムに取り入れている、との記事もありました。


ヴァーストゥと自然の法則

全宇宙のあらゆるものが他のあらゆるものと相関関係にあり、見事に成り立っています。

私たちは、あらゆる自然の一部であり、自然の法則によって統治されています。
大自然は宇宙とも考えられます。

自然の法則とは、自然界の諸法則、または特定の法則のことであり、自然界、生命、そして宇宙を管理している様々な法則、または秩序そのものです。

これら自然の法則を具現化したものが、宗教や精神性においての神の御姿であり、神という概念だと、捉えることができます。

そして、ヴァーストゥの原則は個人の生命をあらゆる自然(宇宙)と結びつけます。


人が創り出す建築物や都市の設計などの住環境のデザインも、自然の法則、言い換えると宇宙の機能と構造とに完全に調和すべきであり、自然に溶け込まなければならない、と考えられます。

何故なら ―
自然界の機能と構造は、調和し、統一されて、互いに支持されているからです。

例をあげますと、
生理学の研究において、人間の脳生理と宇宙の対応部分とが、機能的にも構造的にも正確に対応していることがわかりました。

また、自己相似性といって、全体と部分が同じ形をしていることが知られています。
植物の葉の形は、細部を拡大すると、全体と同じ形になります。
原子核の周りに電子が存在する、ミクロの原子の構造は、太陽を中心に惑星が存在する太陽系、さらにはマクロの宇宙の構造と同一とも言われています。

これは、万物に内在する知性は、自然界のあらゆる個別的な構造を支持している、と同時に、万物に浸透して、宇宙の全体的な価値をも支持している、ということを表しています。

自然界(全宇宙)のあらゆるものは、自然(宇宙)の知性の顕れです。
そして、自然界、宇宙には 適正な配置 があります。
自然界では、あらゆるものがその機能に応じた適正な配置と比率、寸法をもっています。

まさに、自然界の知性の顕れである、私たちの人体を見ると、骨格、筋肉、内臓などが機能的、構造的にも適正に配置され、各々形や大きさが正確な比率に規定されていることがわかります。
そして、それらが少しでも狂えばアンバランスを生じ、健康は損なわれ、問題が起こります。


このことにより、自然界には適正な配置があり、人の創り出す建物や都市の建築と宇宙の構造が適合していることが、ヴァーストゥの原則と理解できます。

適正な配置ではない、無秩序な人工物は全て、自然の摂理を乱すことになります。

人の創り出す建物や都市といった、環境デザインに際して、自然界とのバランスをとるため、活き活きとした自然の法則を復活させる、ヴァーストゥの知識を活用すべきです。


例えば、自然界の一つの側面として、 五大元素があります。
宇宙の万物は、五大元素[ 空・風・火・水・地 ]から構成されています。
したがって、自然界とのバランスは、五大元素のバランスをとることも意味します。

ヴァーストゥの原則では、建物の形が正方形または長方形において、方位を基本に、間取りや開口部などの要素を組み合わせることで、それぞれの環境に適した五大元素の完全なるバランスが成され、エネルギーが相互に作用します。


ヴァーストゥには、内外からの否定的な影響の侵入を防ぐという働きもあります。

量子物理学のマイスナー効果は、超伝導体の基本的な性質で、超伝導体に磁場を加えたとき、超伝導体内部に磁束が侵入しないという現象が生じます。
このように、自然界には調和のとれた集合的な働きが妨害的な影響を退ける、という物理学の原則があります。

この原則はヴァーストゥにもそのまま当てはまり、正しい知識で設計された建物や都市は全て外側からの否定的な影響の侵入を許しません。
否定的な状況が外側からやってくることも内側から起こることもないとされています。


人の創り出すデザインを自然の法則に沿って、宇宙の機能と構造に調和させることによって、自然の恩恵を最大限取り込むことが、ヴァーストゥの大原則です。

何より、ヴァーストゥは、その原則に基づいた住居、職場、都市といった環境のなかで、普通に生活するだけで自然の支援を最大限得られるという、忙しい現代人にとってはとても魅力的なテクノロジーと言えます。

自然の法則と調和し、その恩恵を享受した、バランスのとれた環境は、私たちの日常活動のあらゆる側面を常に支援し、私たちに健康、幸福、成功をもたらすことでしょう。


ヴァーストゥに基づいた設計

地球において、私たちが最も恩恵を受ける自然の法則は、太陽を中心とする惑星を含む太陽系からもたらされます。

太陽系の7つの星(グラハ)の、太陽(スーリヤ)・月(チャンドラ)・火星(マンガル)・水星(ブッダ)・木星(グル)・金星(シュクラ)・土星(シャニ)は、地球に働きかける自然の法則として、ひとつの構成単位とされます。

ジョーティシュという、ヴェーダの一部門である古代インドの占星学では、この7つの星に、太陽と月の軌道の2つの交点であるラフーとケートゥを加えた9つの星と、12の星座の影響を考慮することが知られています。


太陽系の中心である太陽は、地球上の全ての生命活動や自然の循環システムの源となっています。
太陽のエネルギーは膨大で、地球上に到達する太陽エネルギーの1時間分の量は、1年間に消費している世界全体のエネルギー量よりも多いと言われています。

太陽のエネルギーは、東から西へと運行するにつれて、異なる質のエネルギーを生み出します。
ヴァーストゥに基づいた設計とは、第一に太陽の恩恵を考慮して、全ての環境が太陽の動きとともに在るべきとされています。

朝日を優先的に住環境に取り込み、日出づる方角、東を向いた環境づくりや生活が推奨されています。
朝日を浴びることや東を向いた環境における生命活動の向上については、いろいろな研究機関で立証されているようです。

建物の設計において、太陽のエネルギーの異なる質が住空間の各部屋のそれぞれ特有の機能と活動に対応するように、適正に配置します。

ほかには、土地の質や形状、周囲の環境からの影響、水(川や湖沼など)の位置などの事項を考慮します。


インド風水ヴァーストゥの間取り 平面図
インド風水ヴァーストゥの間取り 立面図
HIMALAYAHOUSE VAASTU
空間ヒーリングデザインの住宅
プランニング
THE SIDHI ARCHITECTURAL DESIGN GROUP® From 1999

外観と玄関

建物の外観は、シンプルで美しい形が望ましく、欠けのない正方形または長方形が推奨されています。

建物の入口となる玄関の方位は最も重要で、日の出の太陽のエネルギーを取り込める真東入りが最も望ましく、次に磁力のプラスの作用が取り込める真北入りが良いとされています。

真東か真北以外に向いた玄関は、不健康や生活上のアンバランスなど様々な問題を引き起こす原因となります。

特に避けた方がよい玄関の向きは南入りであることが、賢者(リシ)により強く説かれています。
玄関が南入りになっている場合は、何らかの工夫が必要となります。
⇒ 後述の「ヴァーストゥと空間ヒーリング®」をご参照ください。

部屋の配置

間取りについては、各部屋はそれぞれ特有の機能に応じて、適正に配置されることが重要です。
その環境には、太陽系の各惑星特有の質が働くように設計されるべきであり、太陽と月のように陰陽のバランスも必要となります。

食堂は、消化の火(アグニ)の質が重要となります。食欲が増し消化力が高まり、快適に食事ができる場所に配置されるべきです。

書斎は、知性がよく働き、知識を吸収し、集中できる場所に配置されるべきです。
ブッダ(水星)には、理知・識別・文章を書く、グル(木星)には知識・英知という意味があり、勉強するのに適した質が働くように設計されるべきです。

居間(娯楽室)は、活動のなかにおける休息、各個人の質を高める、人として満たされ、趣味や社交に適した場所に配置されるべきです。
シュクラ(金星)には、楽しみ・願望・音楽・調和という意味があり、快適さにつながる質が働くように設計されるべきです。
また、豊かさの自然の法則の顕現である ラクシュミの質も大変重要です。

寝室は、心身ともに最も休息できる場所に配置されるべきです。
チャンドラ(月)には、心・癒し・優しさという意味があり、休むのに適した質が働くように設計されるべきです。

トイレは、健全な排泄が促される場所に配置されるべきです。

バスは一日の疲れをとり、心身のバランスを回復させる場所に配置されるべきです。
生命エネルギー(ドーシャ)のバランスを整えることは、健康維持に役立ちます。
一般的に風邪と呼ばれるような症状は、ヴァータの乱れによって引き起こされます。
活動において最も乱れやすいドーシャはヴァータであり、バスにおいて心身のバランスを回復させる働きは、主にヴァータを整えることです。

居室の中の一部分を占めるクローゼットや押入れ等の収納スペースであっても、整理整頓が成されるのに適した場所に配置されるべきです。
適当な場所に配置されることにより、 整理整頓に関する自然の法則の支援 にて、場が動きやすく整います。

一つ一つの部屋の適正な配置が全体としての住居(家)を創り~集合体として街・都市を創ります。
個と全体が一つの総体を創っていくのです。


最古の風水ヴァーストゥの建築 熊谷
HIMALAYAHOUSE® VAASTU / ヴァーストゥ®
空間ヒーリング® デザインの住宅
設計・デザイン
THE SIDHI ARCHITECTURAL DESIGN GROUP® From 1999


太陽光の有効性

朝日を有効に取り込み、東を向いた環境づくりや生活が生理学的にも理にかなっていることは、現代の研究成果によって明らかにされています。

いくつかの例をあげてみます。
厚生労働省の報告書では、朝日を浴びることの重要性を説明しています。

近年、24時間社会の拡大により、国民の睡眠を取り巻く環境は大きく変化しましたが、人は、日中に活動し、夜に眠るのが本来の生物学的な姿です。

目が覚めたら日光を取り入れて、体内時計をスイッチオンします。
早起きが早寝に通じることはもちろん、目が覚めたら適度な日光を浴びるようにすることが快適な睡眠の確保につながります。

人の脳の中には、生体リズムをコントロールする体内時計がありますが、地球の自転のサイクルである24時間と同一周期ではなく、少し長い約25時間となっています。
そのため、朝日を浴びることで、眼から入った光の情報により体内時計をリセットし、一日の活動に適したリズムをつくることが必要です。

また、夜になると眠くなるのは、体内時計の信号が、目覚めてから14~16時間後に眠るようにメラトニンというホルモンの分泌をコントロールしているからです。

睡眠のゴールデンタイムは夜10時~午前2時の間で、この時間帯は深い睡眠が得やすく、成長ホルモンが多く分泌されるので、この時間に睡眠をとることは、疲労回復や脳の活動において重要と言われています。

神経科学の最新の研究では、方位によって脳細胞の反応が異なることがわかりました。
東を向いているときの脳生理の働きは、ほかの方角を向いているときとは異なるというものです。
方位に対応したこの脳機能の傾向は、ヴァーストゥが扱う法則と同じ法則によるものです。

さらに、健康を維持するためには、適度な日光浴も勧められています。
皮膚が紫外線にあたった時に生成されるビタミンDは丈夫な骨をつくり、あらゆる病気を予防する働きがあります。
日光に含まれる紫外線の必要以上の摂取は人体に有害とされていますが、その紫外線も朝の光には少ないというメリットがあります。


古代から人々は、太陽を中心とする自然の恩恵を最大限、享受しようとしてきました。
その痕跡は太陽信仰や多くの古代遺跡に見られ、その知恵は現代に受け継がれています。

古代より、輝く太陽や星々への憧れが信仰となり、数多くの天の神話が創られ、星占いが生まれました。
多くの古代文明に太陽信仰と天体観測の痕跡を見ることができます。

自然の恵みを確保するために、自然現象を時間的に捉えようと、天体の知識が極めて正確に体系づけられ、精密な暦が生まれました。
天体の知識を利用して住居を設計し、食事場所を建設し、観測施設を発展させることもありました。

マヤ文明の暦のピラミッドやインカ帝国のマチュ・ピチュのインティワタナなどのように多くの文明では、太陽観測施設として冬至と夏至を記す目印を地平線上の遺跡に合わせて造り、朝日を正確に取り込む開口部を配備した遺跡や、イギリスのストーンヘンジのように至点に向かって石が長い列に配置されている遺跡などがあります。

現代において、スーリヤナマスカーラ(太陽礼拝)というアサナ(ヨーガのポーズ)は、朝起きて東の太陽に向かい、行なうことが知られています。

御来光を拝むといった高山で日の出を拝する習慣は、夜明けの太陽の光を神聖なものとしそれを浴びることで身を清め祈る、という太陽信仰の名残をうかがわせます。

実際、東に向かって早朝の太陽の光を浴びると、清々しく、気力が湧くのを感じます。

先人たちは、本来備わっている純粋な知性に従って、直感的に自然の法則の恩恵を享受する方法を見出してきたのでしょう。


太陽礼拝イラスト


ヴァーストゥと省エネライフ

ヴァーストゥにより、私たちを含めた全ての環境が活性化されると、当然、意識も自然の法則(宇宙の知性)に調和するようになり、その思考や行動も自ずと自然の法則を支えるように働きます。

自己が枠を超えて、秩序ある全体につながり、個は統治された全体の一部として働くようになります。

地球環境問題は、誤った思考による人間活動が自然界の循環システムを破壊したことに起因しています。

自然界の循環システムは、自然の法則そのものです。

今、人類のエゴによる行き過ぎた活動が環境への負荷を増大させています。
自然界の循環という地球の自己浄化機能が崩され、回復不能な状態にまで損なわれつつあり、私たちを取り巻く環境は悲鳴をあげています。

ヴァーストゥにより、私たちの意識が自ずと自然界の循環システムを支えるように働けば、誤った思考は修正され、持続可能な環境は復活させられるはずです。


自然界は効率よくできています。
また、自然界は無駄がなく、自ずと省エネルギーなのです。

純粋な知識ヴェーダによると、自然界には最小のエネルギーで最大の効果を生み出す、てこの原理が働いていると言われています。
環境のヴェーダであるヴァーストゥも、この原理に基づいています。
自然の法則に則して理知に従うことにより、無駄のない効果を得られるのです。

例えば、「ヴァーストゥに基づいた設計」で述べたように、適正な部屋の配置はそれぞれ特有の機能に応じた効果を生み出すので、そこに住むことで、自ずと最小のエネルギーで最大の効果を得ることができると考えられます。

食堂では、アグニの質が働くことにより食欲が増し、食べた物が効率よく消化されるので、身体全体に活力を与えます。

書斎では、知性がよく働くので、短時間で集中して知識を得ることができ、労力が省けます。

居間では、やすらぐことができて、良いコミュニケーションがとれるので、努力なく家族の調和が保たれます。

寝室では、十分な睡眠がとれるので、活動の時間帯に眠くなることなく、時間を有効に活用できます。

トイレでは、健全な排泄が促されるため、努力なく本来の生理機能が保てます。

バスでは、心身のバランスが回復され、効率よく疲れをとることができます。

ヴァーストゥに基づいた間取りでは、自然の法則が自ずと、食事、勉強や仕事、休息、睡眠、排泄などの生活全体を機能的に支援し、私たちの生命に活力が生み出されるように働きます。

このように、自然の法則に則して生活することは、省エネルギーにつながります。


自然の法則に沿うことは、満ち足りていて、一切の無駄のない、最小のエネルギーで最大の効果を生み出すことを可能にする、広く地球に優しい、そして実現の易しいものなのです。

ヴァーストゥにより私たちの意識が変わることで、ライフスタイルも変化し、自然界(宇宙)と共存する、持続可能な環境を実現することが可能となります。

このことから、私たちの意識が環境を創りあげている、ということがわかります。


環境の重要性

ヒマラヤハウス® は、私たちが存在する環境・私たちと共に在る環境が、私たちの意識と行動の成功に関わっている、と理解しています。

自然の法則と調和している環境においては、あらゆる自然が私たちの味方についている状態となり、自然の法則の支援を享受し、健康、幸福、成功がもたらされます。

元来、社会の在るべき形とは、環境と環境に存する全ての生命が自然と共にあり、調和に満ち幸福が在ることです。

在るべき形・本来性とは、本来在るべき秩序だった宇宙の設計図であり、それは自然の法則の活き活きとした状態でもあります。


ただ、今日では在るべき形(純粋性)は、あらゆる領域においても崩壊しています。

ヒマラヤハウス は、その崩壊の大きな理由はヴァーストゥの不全にある、と理解しています。

地球上において、建物や街づくりなどの環境づくりからヴェーダの叡智が失われ、誤った知識のもとで、様々な人工物が設計、造られてしまっているからです。

街では道路は入り乱れ、建物の配置は混沌としており、ヴァーストゥの適正な配置に必要とされる正確な東西南北の方位は失われています。

ヴァーストゥでは建物の入り口は、真東入り・真北入りが良いとされていますが、日本では南入りが多くを占めます。
建築物の設計において、日当たりが良いという理由で、南面が重視される傾向にあるからです。

誤った知識により建てられた建物は、良い気の流れを妨げ、その建物に住む人だけでなく、周囲の環境全体に悪影響を及ぼしてしまうことが、賢者(リシ)により説かれています。

自然の法則を犯し続けることによって、その否定的な影響は、年月を重ねるごとに増幅し広範囲に広がり、自然の法則の乱れの慢性化を引き起こします。

そして、自然の法則の乱れがもたらす生活環境の悪化は、私たちの意識の向上の妨げに留まらず、意識のレベルを下げる要因となります。

こうして、地球環境において活動の中心となっている人の知性・理知は、加速度を増し衰退していると考えられます。


環境の適正ではない配置は、宇宙の諸法則の顕れである人体、人間の生理をも乱します。
人は健全さを失い、病はもちろん、誤った思考に支配されるでしょう。

誤った思考のもと、環境を省みることなく、自己の利益のみを追求することや誤った自己保存をすることは、生活領域(環境)を侵害し、己と周囲の環境の秩序を破壊することに繋がります。

その結果、企業は環境汚染、公害を引き起こし、個人は周囲の生活環境を脅かしています。

日本では、高度成長期に、水俣病、新潟水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病など、企業による大規模な公害が発生し、住民に深刻な健康被害を及ぼしました。

近年では、電磁波の被曝による健康障害や、シックハウス症候群、花粉症など、アトピーやアレルギーの症状も多く現れ、環境対策が急がれています。

また、一企業の利益思考により遺伝子組換作物が世界中に拡散されつつあり、不自然な食物の連鎖による環境汚染、生態系と伝統的農業の破壊が懸念されています。

個人レベルでは、環境破壊(迷惑)行為が横行しています。

これらは、まさに集合意識レベルの不活性化を露呈しており、現代社会における公共性の欠如という課題を提起しています。

日常、私たちが嫌だな、と感じる行為には、 ‘ 公共性 ’ が関係しているとわかりました。

「公共性とは、己と周囲の環境(全体)が秩序に基づいて、活きる(理益を生む)こと」だと、捉えられます。

つまり、公共性は秩序であり、公共性の欠如は、自然の法則に反する環境への侵害行為である、と言えます。

そこで、人々のマナーや意識の向上が求められますが、それには、純粋な思考の復活、つまりは、自然の法則の復活が望まれます。

また、純粋な思考によらない、知識の誤りは、間違った競争原理を生み、虚をつくります。
虚とは、虚像、虚栄であり、虚しい、うその人生を形づくります。

つまり、環境が健全でないと、私たちはその誤った影響により、ダルマ(使命)ではない、間違った道を歩むことになってしまうのです。


環境にとって、秩序を健全に保つヴァーストゥの構築は、大変重要です。

しかしながら、周囲の環境において、ヴァーストゥに基づいた建築物などの構築は、すぐには難しいのが現状です。
ヴァーストゥに基づいて設計された都市や街、住居や職場は理想ですが、建物の建て替えや都市の再編は、容易ではありません。

そこで、ヒマラヤハウス® は、「空間ヒーリング®」による豊かな環境づくり を提唱しています。
ヴァーストゥの構築をめざし、空間ヒーリング を是非ご活用ください。


ヴァーストゥと空間ヒーリング®

ヒマラヤハウス® の「空間ヒーリング®」は、失われた叡智ヴァーストゥ復活を目的とし、誕生したヒマラヤハウス発祥のオリジナルのサイエンスです。

不活性・不全となっている自然の法則の活性化を目的に、環境と意識の本来在るべき純粋な状態への想起をめざし開発されました。

ヒマラヤハウス では、風水コンサルティングアート ― ここでは ホーマパネル® を例に ― を活用した 空間ヒーリングコーディネート をご提案しています。
ホーマパネル は飾って、そして鑑賞することにより、自然の法則の活性化がめざされます。

世田谷区上馬5丁目38の10空間ヒーリングギャラリー
ヤントラ 空間ヒーリングArt ホーマパネル
ホーマパネル® Durga® 6 (ドゥルガー® 6)
創造テーマ 五大元素の空・インドラ・木星に関係する領域の活性化をめざす
理知、直感、正義、知識の保護と確立をイメージ
価格 88,000円 (税込み)
参考資料 アートのご提案 “ Durga® 6 ” PDF
ホーマパネル® Mahabharata® (マハバーラタ® )
創造テーマ 業:進化の妨げとなる悪いカルマ・過去に行った悪しき行動 の相殺をイメージ
価格 88,000円 (税込み)

注:画像は一部加工されています

では、最も簡単なコーディネート方法をお知らせします。

心惹かれるホーマパネルを、直感を大切に1~数枚選んでください。

私たちのシステムには無意識でも、自然の法則と適合して活きるために、乱れ不活性となっている領域や質の過不足を調整するプログラムがあります。
したがって、水の質が不活性である場合、水の質に関係するであろうホーマパネルを、
聴覚の領域が不活性である場合、聴覚の領域に関係するであろうホーマパネルを、
結婚生活の場が不活性である場合、結婚生活の場に関係するであろうホーマパネルを、
選ばれる必然性が期待できます。

そして、選ばれたホーマパネルを、ぜひ、ご活用ください。
携帯して持ち歩くことも可能です。

都市・職場・学校・住居~人の生理と意識、全ての環境に対しヴァーストゥ(純粋な知識とその知性)による支援がめざされ、私たちの生命活動の質は向上することでしょう。

では、環境と意識の活性化にはどのような関係性があるのでしょうか。

ホーマパネルを飾る・設置することにより環境の活性化がめざされた場合、環境の質の向上は生活する人々の意識を向上させると考えられます。
何故なら人は環境に左右されるからです。
言い換えれば、環境が意識(人)を創るからです。

ホーマパネルを鑑賞・愛でることにより意識の活性化がめざされた場合、意識の質の向上はより良い環境を創造していくと考えられます。
何故なら環境は人に如何様にもされるからです。
言い換えれば、意識(人)が環境を創るからです。

このように環境と意識は互いに影響を与え支え合う関係にあろうこと、広く環境と意識は一つであるのではないか、との理解に至りました。
この相互関係を大切に、ヒマラヤハウスでは次世代に繋がる 豊かで美しい環境づくり を 空間ヒーリングコーディネート により提唱しています。

📄ホーマパネルのより良い活用方法として、アルターコーディネートを行なっています。
ヒマラヤハウスの「アルター」は、今の間取りをそのままに、ヴァーストゥの恩恵を享受できるよう考案されました。
どうぞご活用ください。

アルター
ヴァーストゥ(インド風水)の祭壇



なお、ヴェーダ聖典には、

この世界は、永遠不変の絶対・唯一無二より、創造主の戯れとして4つの観念(相)により創造されていることが、説かれています。

4つの観念 ― 音・時間・空間・精妙な粒子 ― は、それぞれが唯一無二の絶対より、全体として広く一つの観念のそれぞれ別の相の顕れであるとも、説かれています。

最終的には、総ては一つにまとまります。


所感 ~ 美しさと豊かさへ

本来在るべき形(純粋性)を崩壊させた要因である、知識の誤りは、2000年頃より矯正期に入り、日々、自然の摂理の復活が感じられます。

復活に至る過程においては、自然界の反作用も随分とあり、気候変動、地震などの自然災害も多く発生しているようです。

自然界の警告に耳を傾け、誤った人間活動を省みて、自然界との共生に向けて、地球規模での取り組みも始まっています。
正しい知識の復活も伴い、人々の意識も多少向上しているように思えます。

ヴァーストゥ復活の兆しもその顕れの一つと捉えられます。


ヴァーストゥにより、私たちは自然からの支援を享受し、豊かさに満たされることでしょう。
自然の法則に支えられると、純粋な思考が備わり、意識が高められ、進化が促されます。
周囲に調和を波及できる強さから、その行動は実を結び、成功がもたらされることでしょう。

ヴァーストゥの確立された環境において、健康、幸福、成功のもと、私たちは純粋な思考に従って、ダルマ(使命)を果たすことが強く信じられます。

ダルマとは、それぞれに与えられた、社会に純粋に貢献する役割であり、使命です。
それは自然界の秩序からすると、正しき道となります。

私たちがダルマを遂行しようとするとき、きっと自然の法則は微笑み、環境が私たちの後押しをしてくれることを、私たちの純粋性は強く感じることでしょう。

そして、自然からの支援が私たちを活かし、私たちも自然を支えるという善循環が波及し、世界に美しさと豊かさが拡大していくことでしょう。

健全な環境を復活させる、ヴァーストゥを構築し、次世代に明るい未来を託し繋げることは、今を生きる私たちの義務と心得ます。

ヒマラヤハウス® は 自然の法則に沿った 美しく豊かな環境づくり を目的とし、ヴァーストゥをサポートします。


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